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花の種 

 うっかり花の種をもらってしまった。郵便局の粗品や、交通安全週間の配り物でもらうことがあっても、いつも辞退していたのに。今回は生命保険のセールス・レディの名刺といっしょに郵便受けに入っていた。
庭もない、プランターもない、それより花を咲かそうという気がない。でも、種を捨てるのには抵抗がある。蒔けば育つんだもの。有精卵を捨てるようで後ろめたい。
子どもの頃「シー・モンキー」という竜の落とし子のような、アミエビのようなものを飼うのが流行った。金魚屋やペット・ショップじゃなくて、オモチャ屋とかで飼育キットが売られていた。乾燥した卵で十年たっても、水槽に入れると孵化して育つ。さらさらの顆粒にしか見えない小さい卵が、水を加えると一日かそこらで孵化するのだった。袋に入った卵は、なんとも生命の重みのない存在だった。それが水の中に落ちると急に生々しいものに見えた。私も、「シー・モンキー」の卵を持っていたと思うが、育てた憶えはない。あれはどうしたんだろう。当時とっていた月間雑誌「科学と学習」の実験キットなんかといっしょで、放り出したまま忘れてしまったのだろうか。

過去に何度か花の種をもらってしまった。花が好きな人が来たらあげようと思って、状差しに差したままになってしまっていた。色褪せた袋がのぞいている。もう、蒔いても発芽しないだろうと妙に安心して、数種類の種を、御杖の家の風呂場の窓から節分の豆みたいに、ぱっーと撒いた。土もかけず、水もあげなかった。忘れた頃、ピンクのコスモスが石混じりの硬い土に一本立っているのを見つけた。次の年からは何にも出てこなかった。
今度もらった種の袋に貼り付けられた名刺には「この地区の担当になりました。よろしくお願いします」小さな丸い字が書き添えられていた。この女性に返そうかとも思ったが、保険に入る気もないのにと思った。花の種をもらって、喜んでいる人もいるだろうけど、「シー・モンキー」の卵を置いてかれたようで気が重い。この種は会社の販促のノベルティなのだから、会社宛に送り返すのが妥当だろう。

切手も貼らず差出人も書かず、「花の種は、望む人にしかあげてはいけない気がします。ポストに入れるならポケットティッシュにしてください」と、付箋をくっつけたらどうだろうか。しかし、面倒だ。どうせ私のことだから、また状差しの花にしてしまうのだろう。
すっきりしない気分で、窓の外を見ると、団地の芝生で小さな鳥がちょんちょん跳ねている。何やらついばんでいる様子。私は、ハトとカラスとスズメくらいしか見分けがつかないので、この鳥が何なのかわからない。スズメに似ているけど、ちがう気もする。
そうだ、鳥に食べてもらおう。そうしたら、どこかで芽が出るものもあるだろう。

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コメント

鳥のえさにしたの?

あなたらしい悩み方やね
その種が食べ物の種だったら?
蒔く?蒔かない?
あなたの御杖の家の桜が咲いていました
もう一度読み直したらそれも有りやね
花の好きなわたし

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